最終更新:ID:dVrc0iWWjA 2019年06月02日(日) 00:02:06履歴
これは問い続ける物語だ。
彼方にいる7人に、あるいは6人、または5人に
そして何より自身のために問い続けるお話だ。
これは彼方に戻れない物語だ。
放たれた銃弾は決して銃口に戻ることはない
行き先がどこであれ、元の場所には収まれないというお話だ。
そしてこれは、生まれ変わる物語だ。
死ねば生まれ変わると、きっとまだ終わってないと、
デッドエンドの後も続いていくと証明するお話だ。
そんなお話だ。
「もーいーかい!」
「『もーいーよ!』」
「あー!二人ともいけないんだー!
黙ってないと位置が分かるでしょ!」
「『……………』」
「都合のいい時だけ黙るんだからー、いいもん見つけてお説教だ!」
鬼決めに使った小枝を拾って走り出す。
草の陰に建物の裏、大きな扉をくぐりお屋敷の中を大冒険
箪笥の隙間に柱の裏、探し回って日が傾いて
「二人ともみーつけた!」
「■■が返事するからー」
『すぐに来なかったから問題はそこじゃないよ』
「いいから早くしないとお兄さんたち来ちゃうよ!」
屋敷を見回りに来るお兄さん、一人ぼっちの見回りだったら飴をくれるけど
金曜日は他の人も一緒に来るから早く帰りなと怒られちゃう
「それじゃあ帰ろう二人とも!」
「『うん!』」
僕は二人の間に立って、さあ帰ろうと腕を上げて、
手を繋ごうと二丁拳銃をこめかみに突き当てた。
暗い部屋には5個の死体、1人の殺人鬼に1人の少年
滴る水音も最早絶えて、空から降り注ぐ黒色が不気味なほど優しく包み込む
静かな静かな部屋の中央で殺人鬼は少年に語りかける。
「なあ楽しかったか?どんな気分だ?さいっこうだろ!」
耳を塞ごうとしても少年の体の自由は奪われている。
指一本すら動かせず、目には部屋の惨状が張り付いたままで
「おいおい、こんなめでたい日になんで落ち込んでんだよ
俺たちは文字通り一心同体なんだから笑えよ。二心同体か?あはは!」
殺人鬼、少年の別人格は高らかに笑った。
人の心で生まれたそれは人の心を解さなくて、
きっと少年も楽しかっただろうと、悪意の欠片もなく投げかける
「お前への顔見せとプレゼントにしちゃ上出来だろ?
気に入ってくれたなら幸いだ、んじゃ次の獲物を探しに行こうぜ」
そう言って足を一歩進める。
ここまでは普通の話。普通でない中では普通のお話。
ただ一つ違っていたのは、どこで歯車がずれたのかは知らないが、
少年はその殺人鬼よりもよっぽど殺しに長けていた。ただそれだけだった。
「あ?」
音はない、動きもない、戦闘など起こるはずもない。
見えない殺意は銃口からまっすぐに飛んだ。もう二度と元には戻らない。
暗い部屋には5個の死体、6人の死人に1人の少年
重い足音が鳴り響く。開け放たれた分厚い扉の先は拒絶するかのような黒色だ
ここで僕も殺していこうと思う。
■■■という少年はこの部屋で死んだんだ。
過去を捨て、経歴を捨て、故郷を捨て、何もかもなくして知らない場所へ。
僕が悪いとは言わない。
だって僕は誰も殺していない。命を奪うことなんてしていない。
でも僕が悪くないとも言えない。
僕は6人も殺してしまった。許されることではないだろう。
だから問い続ける。
いったい何人殺してしまったのか、いったい何人死んだのか。
どこまでを殺人とするのか、どこまでを人とするのか。
分からないうちは自戒する権利も開き直ることもできない。
そしてきっと、ずっと先も答えは見つからないことも知っている。
だから、それでも僕は
「転生か、いい言葉だよ。
悲しみに暮れて死んだ■■■はこの悲しい部屋に置いていく」
リーンは部屋を後にして廊下を突き進む
誰も殺したことのない殺人鬼は震える手で拳銃をしまい、一度だけ振り返る。
暗い部屋には5個の死体、6人の死人に、自殺した1人の少年■■■がいた。
彼方にいる7人に、あるいは6人、または5人に
そして何より自身のために問い続けるお話だ。
これは彼方に戻れない物語だ。
放たれた銃弾は決して銃口に戻ることはない
行き先がどこであれ、元の場所には収まれないというお話だ。
そしてこれは、生まれ変わる物語だ。
死ねば生まれ変わると、きっとまだ終わってないと、
デッドエンドの後も続いていくと証明するお話だ。
そんなお話だ。
「もーいーかい!」
「『もーいーよ!』」
「あー!二人ともいけないんだー!
黙ってないと位置が分かるでしょ!」
「『……………』」
「都合のいい時だけ黙るんだからー、いいもん見つけてお説教だ!」
鬼決めに使った小枝を拾って走り出す。
草の陰に建物の裏、大きな扉をくぐりお屋敷の中を大冒険
箪笥の隙間に柱の裏、探し回って日が傾いて
「二人ともみーつけた!」
「■■が返事するからー」
『すぐに来なかったから問題はそこじゃないよ』
「いいから早くしないとお兄さんたち来ちゃうよ!」
屋敷を見回りに来るお兄さん、一人ぼっちの見回りだったら飴をくれるけど
金曜日は他の人も一緒に来るから早く帰りなと怒られちゃう
「それじゃあ帰ろう二人とも!」
「『うん!』」
僕は二人の間に立って、さあ帰ろうと腕を上げて、
手を繋ごうと二丁拳銃をこめかみに突き当てた。
暗い部屋には5個の死体、1人の殺人鬼に1人の少年
滴る水音も最早絶えて、空から降り注ぐ黒色が不気味なほど優しく包み込む
静かな静かな部屋の中央で殺人鬼は少年に語りかける。
「なあ楽しかったか?どんな気分だ?さいっこうだろ!」
耳を塞ごうとしても少年の体の自由は奪われている。
指一本すら動かせず、目には部屋の惨状が張り付いたままで
「おいおい、こんなめでたい日になんで落ち込んでんだよ
俺たちは文字通り一心同体なんだから笑えよ。二心同体か?あはは!」
殺人鬼、少年の別人格は高らかに笑った。
人の心で生まれたそれは人の心を解さなくて、
きっと少年も楽しかっただろうと、悪意の欠片もなく投げかける
「お前への顔見せとプレゼントにしちゃ上出来だろ?
気に入ってくれたなら幸いだ、んじゃ次の獲物を探しに行こうぜ」
そう言って足を一歩進める。
ここまでは普通の話。普通でない中では普通のお話。
ただ一つ違っていたのは、どこで歯車がずれたのかは知らないが、
少年はその殺人鬼よりもよっぽど殺しに長けていた。ただそれだけだった。
「あ?」
音はない、動きもない、戦闘など起こるはずもない。
見えない殺意は銃口からまっすぐに飛んだ。もう二度と元には戻らない。
暗い部屋には5個の死体、6人の死人に1人の少年
重い足音が鳴り響く。開け放たれた分厚い扉の先は拒絶するかのような黒色だ
ここで僕も殺していこうと思う。
■■■という少年はこの部屋で死んだんだ。
過去を捨て、経歴を捨て、故郷を捨て、何もかもなくして知らない場所へ。
僕が悪いとは言わない。
だって僕は誰も殺していない。命を奪うことなんてしていない。
でも僕が悪くないとも言えない。
僕は6人も殺してしまった。許されることではないだろう。
だから問い続ける。
いったい何人殺してしまったのか、いったい何人死んだのか。
どこまでを殺人とするのか、どこまでを人とするのか。
分からないうちは自戒する権利も開き直ることもできない。
そしてきっと、ずっと先も答えは見つからないことも知っている。
だから、それでも僕は
「転生か、いい言葉だよ。
悲しみに暮れて死んだ■■■はこの悲しい部屋に置いていく」
リーンは部屋を後にして廊下を突き進む
誰も殺したことのない殺人鬼は震える手で拳銃をしまい、一度だけ振り返る。
暗い部屋には5個の死体、6人の死人に、自殺した1人の少年■■■がいた。
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